但し、依存性あり

2015-02-15

コンプレックス
岩波新書

子供の宇宙
岩波新書

こころの最終講義
新潮文庫

「こころの講義」→「コンプレックス」→「子どもの宇宙」
の読書順
「こころの講義」は河合隼雄氏の唯一の講演集
第一章「コンステレーション‐京都大学最終講義‐」と第三章「物語にみる東洋と西洋」も素晴らしく、
ひとつ新しい目標もできた
実現したらまた徒然します
三冊の中では最後に辿り着いた、「子どもの宇宙」 勝手に私の運命の本ベストナントカに選びたい
お子さんを持つお母さんが読む本かな?とはじめ思ったけれど、装丁が色違いの「コンプレックス」で大感激した勢いで、
私もワークショップ等で、絵を通して“子供(たち)の宇宙”に出会うことがあるから…と思って、読む
ワークショップや、“子供(たち)や誰かため”でなく、図らずも、自分自身が癒されて随所随所で涙も
自分の中の小さな宇宙と自分を取り巻く大きな宇宙が相対するものであり
自を癒すことが他を癒すことになることを改めて深く実感させられる

作家とは、自身の心と、時に深い闇とも深く向き合わねばならなくて
多くの先人が苦しんで狂気に至ったこと
作家という仕事に、誠実に真摯に、のめり込めばのめり込むほどにわかる。というのは
私に限らず多くの芸術家のたまごにとっても共感される恐ろしく暗い事実だと思う
実際、芸術大学でも専攻可能な西洋哲学は精神の表皮を頑丈にするけれど
土壇場では一時的な盾や矛にしかならなかったかもしれない

しかし、このような優しい日本語で広く日本人に書かれた、心についての文章はとてもリアルで
優しく柔軟に、その何かを跳ね返す技法書のようです

但し私なんかはアルコールとまでは言わないけれど、朝の珈琲とか夜のチョコレートみたいな
やや強い依存性(中毒性)を感じたりするので、警告をこめて上のタイトル

他人に感化されることは心地よく、
作者限らず全ての本や、恋愛だったり親しい他人との関係性に言えるのだろうけれど
此処はユングを学んだ河合隼雄の眼を通した宇宙である
其処に、自分が一時的に身を委ねていて、そして、今、私は癒されているのだ
というのを忘れてはいけなくて
盲目となり完全に癒されては絵描きとしての私の宇宙、私の眼はどうした、ということになる
宇宙に対し、癒すことも創造することも自分自身の眼によってでなくてはならない