フェルメールからのラブレター展
2011年6月25日(土)〜10月16日(日)
京都市美術館
公式hp
http://vermeer-message.com/
めちゃくちゃ楽しみにしていた展覧会
修復後初公開の「手紙を読む女」のラピスブルーが話題ですが
私はなんたって
「手紙を書く女」に溶けた
どれぐらい前だったっけ
家族と神戸の美術館で観て彼女に会うのは二度目
初めて見たときは神秘的な年上の女性に見えたと思うのだけれど
薄暗い部屋、こっそり覗いて観てしまった罪深い天使
罪深いとは覗く方?
覗かれる方?
17世紀は勿論手書きのラブレターだけど
タイプライターの音が響きだして
映画「つぐない」を思い出した
私は妹と二人姉妹なんですごく感情移入してしまったり
(又、何たってキーラナイトレイのこの映画での頼りないヌードが好み)で
この作品が大変好きなのだが
これもまた手紙を巡る(悲しい)お話
PG12映画なのですね
ブライオニーがきっと13歳くらい
13歳、一人で覗くみたいに観たある女の子はこれを少し神秘的、美しい映像と思うのかもしれない
それが
今見たら全くのリアル、
それとももう懐かしいのかな
この手紙を綴る人のこの表情は
でも真実だからこそこの迫力
フェルメールの絵は観ているうちにこちらが見えざる何者からか凝視されている気持ちになる
観ている私自身も浮き彫りになる感覚が怖い
そう、自分の視線が一番怖い
黄色い服に緑の顔
美しく若い女性を描くのにやっちゃいけないはずこの配色
そういえば、つぐないのセシーリアも血色悪い印象
誇大妄想 自己顕示 神経過敏
恋愛特有の美しさと醜さ、その間のぎりぎりを思う
でも間違いなく美しいと思う絵
ターバンの女の子みたいに光を讃えた肌色だったらこんなに惹かれないはず
感謝感激でした
少なくともあともう一度行きたい
そういえば
出口で見知らぬご婦人がフェルメールが三点しかないとご立腹されていてびっくり
三点揃って観れること、というかたった一点でもあまりに貴重な機会なのだが
知らない人はフェルメールばかりの展覧会かと思っちゃうのかな
何れにせよ、名画とは一点で数百点分の価値があるのだなと改めて思えた展覧会
とはいいつつ、実はその他のオランダ絵画も今回凄く楽しめた
そう、楽しかった
最後の一室にフェルメール三点が待ち構えているのだが
それまでは画面の中の人や関係を読み解いたり不思議なモチーフを見つけたり
軽いなぞなぞをしながら遊ぶようで楽しい
スルーすることが多い解説文のキャプションもふむふむへーっと読みながら観ていた
いつもは入り口で配っておられる「音声ガイド」の意味に
頭を捻るのだが
これは聞きながら鑑賞を進めても楽しいかもと思った
但し、最後の一室までは
ラブレター展
読み解けたと思うそれが真実だと思うのは危ない
最近気づいたのだが
いやはや気づいてよかったのだが
私は人に何かを伝えてから
それに対して
わかっているよ
と言われると心が緩んでもう本当に崩れそうになる
殺し文句ってこういうののことか
赤の他人にさえいっそのこともう抱き潰して下されとか言いそうになっている いい迷惑だろ
人のことを、解っているよだなんてあり得るのか
皆それぞれ違ったストーリーを生きている
同じ景色の中で違うものを見ている
皆それぞれ自分の物語を持っていて自分以外の物語に踏み込むことなんて絶対にできない
なのにどうして
わかって欲しいと思ってしまうのか
心が緩めて崩れそうにする幻って何なんだろうと思う
どこからきたのかいつからあるのか
画面を刻むことや提示するということに関わらなくもないことだから
よほど暇なときに考えてみましょ