糺勧進能《安達原(黒塚)》をみる
安達原(福島県二本松市)が舞台となる鬼婆伝説。覚悟して伺ったが、時折観客席から笑いが起こるほどユーモアを混じえたり軽やかに演じられていて仰天。
善人の女性が鬼婆になった理由を調べればとても哀しい。『全ての人の心に鬼もいれば仏もいる」ご住職がお話し下さった言葉を思い出し。鬼婆が開けてはならないと言ったのは、良心による忠告であったともいえる。その扉は私達の心にあるもの、そして、『決して開けてはならない』。
高野山恵光院様の新たな襖戸八枚が届き、ボタンが押されたみたいに様々ないわれのないプレッシャーや不安にのたうちまわっていたその日。与えられた扉戸を前にどのような心で向き合うのか。象徴的でもあり、不思議な一日だった。