ラグーザお玉自叙伝
木村毅編
恒文社
ほんの僅かに今より昔
こんなに風に強く美しく女流画家がいたなんて全く知らなかった
美術を愛する人にとって必ず面白く
人間を愛する人にとって必ず胸に迫る
絵描きを目指す全ての人にとって覚悟を迫られる必読の書です
ラグーザお玉
明治元年に8歳 明治15年シシリア定住 昭和8年75歳帰国
冒頭から
お玉さんが優しく語る声が聞こえてくるような
そのうち淡々とした語り口とは対照的なドラマチックな内容に引き込まれ
映画を見ているみたいに
幼少期の思い出から晩年まで
情景が臨場感豊かに広がって流れていく。
あっという間に読了。
当時ってこんなのだったの!!??と習俗の描写も興味深く
美術史でも面白い時代です
随所にさりげなく登場する大観、フェノロサ、浅井忠、由一など‥美術史には外せない人物の名前
その箇所ごとにいちいち興味深く重要な内容が。
かなり貴重な資料のはずです。
物語?としても胸が熱くなる内容
私が好きな場面は最初の方、少女であったお玉さんがヴインチェンツォ・ラグーザと出会い
絵画についてものすごい濃密な教えを受ける部分
羨ましい!
読みながら私も一緒に学ぶようで本当にわくわくするところ。
例えば
質の低い粉本にばかり学ぶ少女お玉が写生にも興味をもつように、ラグーザが仕掛けた魔法とは‥?
とか。
又、自叙伝一番最後
お玉さん最晩年の「身辺記」は本当に温かく目頭が熱くなります。
全編渡って伝わるのはお玉さんという人の強く美しい人柄。
一貫して謙虚で誠実な言葉と姿勢に
絵描きとしては勿論、女性としても本当に学ばされ思うことが沢山ありました。
内容とは関係ないのですが、装丁も綺麗ですよ。
素晴らしい本に、女性に、出会わせて頂きました
大切にしたい