春は近そうであと少しが遠い
まだまだ景色も寂しい色彩で
さぶい〜と
うつむき気味で歩けば
真っ赤な椿
愕から落ちる椿の姿とその風景は
枝につく姿よりもっと美しく見えて
ほんの少し怖くて
その落ちた場所に景色に必然を感じてしまうから
どうしても拾ってはいけないような気がしてしまう
持ち帰り飾るためであれ
人や車に踏まれないためであれ
拾って私の安易な意思でその場所を変えた瞬間
大変なことがおこってしまうのではというような幻におそわれる
椿螺子
時間や空間を構成している見えない不思議で大きな乗り物の
隠された重要なネジのひとつだからなのではとか想像してみる
椿が見上げる方向を見たら見下ろす椿
見上げる椿と見下ろす椿が見つめあっていた