梅の老木
この数日向き合って
写生をしながら、いろんなことを思い出していました
他に家を持ち、大事なお金も未だに行方不明という…しかもまだまだ男盛りで大変な難病になって帰ってきた父。
私たち姉妹は当時の経済的な負担などネガティブに自覚できる余裕もないくらい、母に途端にのしかかった介護が悲惨で本当に大変だった我が家、
そうだったとしても幼い頃の思い出と共に好きだった父が亡くなった翌春、昨年のこと、母と見た忘れられない桜吹雪があります。
あの日にまるでまるでそっくりな、
梅の花の!花びら吹雪のなか、
お蜜柑をいただいたり、お掃除を手伝ったり、
ひなたぼっこの猫に見守られ、
順々に訪れるメジロのカップル、食いしん坊のひよどり、散歩のひばり、沢山の幸せと優しさに包まれて描きました。
平和で豊かな時代、
そんな中で出会えた人の縁の連続で、
絵描きとしての今があります。
この老木、
初めて見て息を飲みすぐに描かせていただけるようにお願いにいきました
随分さかのぼるはなしですが、
時の後宇多天皇が蒙古到来の際に
祈りを捧げた由縁の場所でもあると、
後から知ることになりました
血を流して闘ってくれた先祖がいて、
私だったら乗り越えられないかもしれないと思うような、災害や試練があり、幾多の必死の祈りの中で繋いでもらったいのち。強いいのち。
そして、大切な、
繋いでもらった日本画のバトン。
こんなに平和な春を過ごせる時代。
むさぼらず、分け合うことができる優しい国に生まれることができた奇跡と幸せとあまりの幸運に
今日、改めて感謝であふれます。
未熟だけれど、
自分の命があるかぎり日本と日本画と、
私を包んでくれるこの世界に少しでも恩返しできる仕事がのこせたらと思う。